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【基礎編】ライブコマースを中心とした中国のデジタルマーケティング
(更新:)
執筆者郭
執筆者郭
会社/職務株式会社フューチャースピリッツ
FutureChina Blogへようこそ!
今回は中国で今大注目されている「ライブコマース」の基礎知識についてご紹介します。
なぜ中国でライブコマースが爆発的に成長しているのか、従来のECコマースと何か違うのか、ライブコマース業界の要素について理解していただけるような内容を準備しております。
中国の2大EC祭り
いきなりですが、皆さん、中国の2大EC祭りをご存知ですか?
618商戦 | ダブルイレブン |
これはネット通販大手JD.comが毎年6月18日に開催している618商戦と、同じくネット通販大手アリババが毎年11月11日に開催しているダブルイレブン(W11)です。
アリババのデータによりますと、2021年11月1日から11月11日の販売額は日本円で約9兆6500億円に達しました 。(出典:sina「2021年双十一数据点评:消费趋于理性 回归增长质量和社会价值提升」)
業界2位のJD.comはセール期間中の販売額が日本円で約6兆2000億円になったと発表しました 。(出典:sina「2021年双十一数据点评:消费趋于理性 回归增长质量和社会价值提升」)
アメリカのコンサルティング会社のアリックスパートナーズ(AlixPartners)の事前調査によると、中国の消費者が今年のダブルイレブンに投じる金額は、85%が「前年並みか前年以上」と回答しました。 その中に、ライブコマースが今年のダブルイレブンを押し上げる原動力になるとも指摘されました。
ライブコマースの定義と特徴
では、なぜ中国でライブコマースが爆発的に成長しているのでしょうか?
まず、ライブコマースってなに?
一言でいいますと、
ネット上のライブ配信で、ライバー(つまり、ライブ配信を使って、収入を得ている人)が、商品やサービスを紹介し、リアルタイムで視聴者の質問やコメントに答えながら販売するビジネスです。
ライブコマースと従来のECコマースの違いを上記の定義から見ると、 まずライブコマースはリアル動画であるので、従来のECコマースのような写真・テキストよりもイメージがつきやすいという特徴があります。
次に、リアルタイムで視聴者の質問・コメントに答えることができるので、コンバージョンにつなげることができるのも特徴です。
下の動画を見てみましょう。画面の左下側で流れているのは視聴者からの質問やコメントです。ユーザーがライブを見ながら質問をしています。一方、ライバーは商品を紹介しながら質問を回答しています。
また、ライブコマースのビジネスロジックは、人が物を探すではなく、物が人を探すということです。 つまり、お客様は自らネットで物を探す必要がありません。ライバーが積極的に商品をお客様の目の前で紹介します。
この点について、少し中国特有の事情を紹介する必要があります。
1つ目は、中国のネット上には、同じ種類、同じ機能を持っている商品がたくさんあり、選択肢が多すぎます。そのため、誰かが商品を紹介してくれると選ぶ手間が省けるので、お客様にとって楽です。
2つ目は、中国人は企業側への不信感があります。写真やテキストだけでは、信用できません。実物を見たいと思っています。
中国のライバーはライブ配信する時の話し方、内容の面白さをすごく重視しているので、視聴者は徐々にライバーのファンになり、ライバーは視聴者の推しになります。そうして、ファンは推しがおすすめするものを信用することができます。
次にあげる特徴として、伝達範囲の広さです。同時視聴者数は数百万人が普通ですので、ライブコマースを利用して、より多くの人に商品を知らせることが可能になりました。
最後は、価格の安さです。
従来のECコマースの場合、割引はあまりありません。ライブコマースでは様々な割引があり、例えば、「配信者限定」「期間限定」「還元手法」など、常に視聴者に割引の刺激を与えます。
こちらのライブコマースの利用者の割合を見てみると、性別割合はそれほど変わりません。年齢別の割合では、最も多いのは20代、次に10代、そして30代です。 この結果は、ライブコマースで販売されている商品の価格はそれほど高くないという側面からも説明できると思います。
中国ライブコマースの要素
最後に、ライブコマース業界の要素をご紹介します。
このエコロジカルチェーンを見てみましょう。ここではすべての要素がカバーされています。
一番左はサプライチェーンです。いわゆるメーカー、工場、原産地、販売店など商品を作る側です。
サプライチェーンの右上はライブコマースサービスを提供するMCN(Multi-Channel Network)という会社です。MCNはライブコマースにおけるマーケティング機能を提供し、成功報酬を得るサービス会社です。
ライブコマースを自社で行うこともありますが、MCNに委託することもあります。もちろん、どのプラットフォームでライブをやるか、どのライバーで商品を紹介するかによって、成功報酬のパーセンテージは異なります。
MCNの下はライバーです。ライバーもいろいろ種類があります。基本的にライバーはMCNの社員です。MCNの1つの役割はライバーの育成と紹介です。
MCNの右側はライブコマースのプラットフォームです。いわゆるライブコマース業界の基盤です。プラットフォームを経由して、商品は最終的にユーザー側に到達します。
他には、図の下にある、オンライン支払、物流、マーケティング、データ分析などライブコマース業界を支えている欠かせないサービスもあります。
プラットフォームとライバー
上記要素の中で、最も重要な要素はプラットフォームとライバーです。
(1)プラットフォーム
中国には様々なECプラットフォームが存在しています。
アリババのTaobaoを代表とした伝統的なC to Cモール型から、618商戦を行っているJD.comを代表としたB to Cモール型があります。 そして近年流行り始めた人が集まれば安くなる「共同購入型」Pinduoduoがあります。他には、ある業界に特化したものも多いです。例えば、アパレル業界や生鮮業界等、様々な業界にECプラットフォームがどんどん生まれています
そして、海外の商品販売に特化したプラットフォームもあります。
先ほど紹介した大手ECプラットフォームはすべてライブコマース市場に参加しています。
その中で、ライブコマースを行っているプラットフォームを大きく分けると2種類あります。
1つ目は、TaobaoライブのようにECプラットフォームが動画配信するツールを開設し、出店しゅってん業者が同ツールを活用してライブコマースを行うものです。つまり、ライブ配信から商品の購入まですべて同じプラットフォーム上で実現されるようになりました。
もう一つは抖音(中国版TikTok)のように、音楽などのエンターテインメントをライブ配信する従来のコンテンツプラットフォームが新たにEコマースに参入することで行うものです。
つまり、ライブ中、ライブアプリからECサイトに移動して、購入できるようになっています。
去年から、日本の方もよく知られている中国のSNSーWeChatもライブ配信機能を実装しました。ユーザーがライブを見ながらWeChatのミニプログラムで商品を購入することができるようになりました。
こちらの動画が表示されているのはWeChatのライブ配信機能です。購入したい場合、WeChatミニプログラムあるいは第三方さんぼうのECサイトに遷移することが可能です。
(2)ライバー
ライバーにも2種類あります。
自分の店舗を持っていて自社商品を販売するライバーと、自分の店舗を持っておらず色んなメーカーの商品を取り扱って販売する専門ライバーです。 また、ライバーを使わず、ライブで社員が出るという方法も珍しくありません。
下記画像のCtripという大手旅行代理店の社長は、自らあちこちに行き、民族衣装を着て観光名所を紹介したりしています。
5回のライブ配信で、日本円で約9億円以上の旅行関連商品を販売したという実績があります。
以上が、ライブコマースの2つの主要な要素です。
これらに加えて、便利なオンライン支払、発達している物流、および各プラットフォームや国からの政策支援など、ライブコマースは爆発的に成長しました。この2、3年、中国の若者がこの業界に次々と参入しています。
以上、中国ライブコマースの基礎知識を紹介してきました。
皆さんのライブコマースへの理解が少しでも深まったらうれしいです。
※当社で提供できるサービス
当社中国パートナー会社は、ECモール(Taobao、Tmal)において、お客様の店舗運営及びライブコマースを担当しております。
ライブコマースはショップの一環として、EC店舗全体的なマーケティング運営から、その他代理店さんとの連動販売まで、お客様のオンラインセールスを全力で支援しております。
詳細は下記のページをご覧ください。
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